本稿は,2017年9月24日に実施されたドイツ連邦議会選挙の結果を分析するものである。同選挙では,連立与党のキリスト教民主/社会同盟とドイツ社会民主党が議席を大きく減らし,反移民の右派政党「ドイツのための選択肢」が大きく躍進した。2015年以来のメルケル首相の難民政策への批判が影響したとも評されるが,選挙前に首相の政党の圧勝が予想されていたことが同党支持者の投票行動に影響した点も無視できない。本稿では,社会民主党,さらには自由民主党,緑の党,左派党といった小政党の支持動向を紹介した後,「ドイツのための選択肢」の勝利の要因,同党選出議員の特徴を概観する。そして前回選挙より変更された選挙制度の影響に触れ,最後に投票日からおよそ半年間続いた連立交渉について簡単な説明をする。