選挙研究
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障害をもつ人・寝たきり等の人の選挙権行使の現状と判例
西山 千絵
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2018 年 34 巻 1 号 p. 94-105

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抄録

本稿では,投票所での選挙権行使に困難を抱える者を対象として,障害,疾病のある人とともに,寝たきり等の人の選挙権を扱う。判例では,選挙権の保障は選挙権の行使という実質的保障まで含むとされているところ,本稿は,選挙権の行使の本質的部分にわたる制限の適否--投票所等へ向かえる選択肢がほぼない人,政治的な意思表明の方法の選択肢が限られる人に対する機会・方法の制限--に焦点を当てた。一部の者には,その投票困難性への対応として郵便等投票,代理記載制度が設けられているが,精神的原因により外出困難な人や,制度対象外の寝たきり等の状態にある人への範囲拡充は,選挙の公正を理由として立法解決が遅れている。投票の困難性の明確な判定あるいは類型化が難しい対象の存在や,代理記載の限界にも留意しつつ,投票困難者の選挙権行使の機会・方法の確保について,巡回投票等の可能性にも多少の言及をしながら,検討を行った。

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© 2018 日本選挙学会
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