選挙研究
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マルチレベル選挙における動員と投票疲れ
亥年現象の解明に向けて
Jaehyun SONG日野 愛郎
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 36 巻 1 号 p. 23-34

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抄録

本研究の目的は,異なる種類の選挙が短期間に行われる際に有権者がどのような投票行動を取るかを明らかにすることである。統一地方選挙が実施される年の参院選において投票率が低くなる「亥年現象」は,多くの研究が「動員」に原因を求めてきた。本研究は,動員仮説に加え,対抗仮説として有力視されている有権者が短期間に何度も投票所に足を運ばなければならないことのコストに着目した「投票疲れ」仮説についてもパネル調査データを用いて検証した。具体的には,統一地方選挙そのもの,または投票が行われなかった選挙区(無投票選挙区)に注目し,選挙の実施有無を傾向スコアでマッチングした分析を行った。分析の結果,有権者レベルにおいて亥年現象は観察されるものの,政令市の有権者の場合,投票疲れが,その他の市区町村の有権者においては動員の不在が主な原因であったことが明らかになった。

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© 2020 日本選挙学会
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