抄録
安倍政権下において,政府はマスメディアとの対決姿勢をより鮮明にしている。またマスメディアの側では,受け手の減少が続いている状況がある。こうした状況を背景として,マスメディアの報道が党派性を強め,多様な意見や情報に触れる機会を提供するというフォーラム機能が失われることが懸念される。このような観点から,本稿では全国紙の政治報道を対象に,安倍政権下でどのような論点が取り上げられたか,またそれらの報道はどのようなトーンを帯びていたかを分析した。その結果,第2次政権以降に多様な政策争点が論じられるようになったこと,そしてそれと並行して新聞間におけるポジティブ・ネガティブなトーンの差異が大きくなっていたことが明らかになった。この結果から,これまでマスメディアが担っているとされてきた多様な情報に触れる場をどのように設けるかが今後の課題であることが示された。