選挙研究
Online ISSN : 1884-0353
Print ISSN : 0912-3512
ISSN-L : 0912-3512
無党派時代の終焉
政党支持の変容過程
松本 正生
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 21 巻 p. 39-50,214

詳細
抄録

1995年統一地方選の「青島•ノック現象」を嚆矢とする無党派の時代も,ようやく終焉を迎えつつある。93年政変からはじまる連立政権期の十数年間に,有権者レベルでは,政党支持の質的変化が生じていた。旧来の政党支持の退場による,「潜在的支持」層化の進展である。すなわち,特定の支持政党を持たないという前提の上で,そのつど政党を選好する新しい政党支持の時代の到来だ。「そのつど支持」層(contingent voters)は,政党を横並びで比較し,政党本位の選択を行う。「政党」支持から政党支持への変容と表現することもできよう。いずれにせよ,無党派層と政党支持層との間の区分は,もはやあまり意味をもたない。無党派を政党支持の残余カテゴリー(残りの部分)と捉えるのは,そろそろ終わりにすべきだろう。「無党派層の反乱」に象徴される政党を否定した時代から,相対化して比較する時代へと変わった現在,無党派層という呼称もやめた方がよいかもしれない。

著者関連情報
© 日本選挙学会
前の記事 次の記事
feedback
Top