日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
解説
ウラン・ネプツニウムの新しい金属調製法を端緒としたアクチノイド科学への新展開
塩川 佳伸山村 朝雄青木 大本間 佳哉大貫 惇睦
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2007 年 49 巻 11-12 号 p. 755-761

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抄録

 使用済み燃料に含まれる超ウラン元素や,燃料製造時の派生物である劣化ウランを厄介な負の遺産として捉えるのではなく,その有効利用や共生を図ることは21世紀のエネルギー問題を解決するために大変に重要である。ところが,その基盤となるアクチノイド物質科学の推進に不可欠な金属単体の入手は極めて困難であり,有効なアクチノイド金属調製の技術もなかった。私たちは水溶液電解による新しい金属調製法を開発した。その上で,我が国初の超ウラン化合物の磁性と超伝導に関する研究を展開した。一方,電気化学的手法を深めた結果,高エネルギー効率のアクチノイド・レドックスフロー電池の開発へと発展した。本稿では,ウラン・ネプツニウムの新しい金属調製法がもたらした,アクチノイド物質科学における先進的研究結果とその波及効果を紹介する。

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© 2007 一般社団法人 日本原子力学会
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