2011 年 53 巻 3 号 p. 202-205
核医学は,放射性同位体で標識された薬剤(分子プローブ)を人体に投与し,その挙動を追跡することで疾患診断を行うものである。近年の分子生物学の進展によって抗体などのタンパク薬や,遺伝情報を利用した核酸医薬が続々と登場するに至って,これらを使った核医学診断・治療の開発が活発となり,それらに最適化された新たな放射性同位元素の選択と活用が始まっている。これらの製造には,加速器,ターゲットならびにターゲット処理システムの構築が不可欠であり,また新しい放射性同位元素に適した標識法の開発も必要となる。本稿では,これに関連して放射線医学総合研究所で行われている取組みについて紹介する。