高速増殖原型炉「もんじゅ」は,1995年12月のナトリウム漏えい事故以後,運転を停止していたが,2010年5月6日に運転を再開し,炉心確認試験を完了した。今後,40%出力でのプラント確認試験や100%出力までの出力上昇試験が計画され,中・長期的には,高性能炉心や「もんじゅ」次期炉(高速実証炉)の安全審査が行われる予定である。原子力安全基盤機構(JNES)は,わが国のTSO(Technical and Scientific Support Organization)として,原子力安全・保安院(NISA)が行う各種の高速炉安全規制を多面的かつ積極的に支援している。
分散電源を必要としている世界の市場と必要とするエネルギ-を提供できる小型の原子炉4S(Super Safe Small and Simple)の開発現状について述べる。また,原子力新興国が求める原子力システムへの要望について,これまでの4S開発経験を通して得た知見に基づき評価・整理した。評価にあたり,それらの国を経済形態や技術姿勢を国民1人当たりのGDPで分類し,分類ごとに原子力システムへの要望をまとめた(以下,原子力GDPモデルと呼称)。