福島第一原子力発電所事故から教訓を学び,世界で稼働中の原子力発電所の安全に反映することが必須である。日本原子力学会「原子力安全」調査専門委員会 技術分析分科会では,公開されている情報を基に,今回の事故とその対応を,12項目に整理して分析し5月9日にホームページで公開した。独自の立場から分析を行い,非常用冷却装置や,ベントラインの設計上の課題など新しい教訓も摘出している。また,事故直後だけではなく現在も情報公開が十分ではない政府に対して,改善を提言するとともに,より積極的な情報公開を期待したい。これらの教訓の多くは,原子力分野以外の一般的な人工物システムの安全性向上に役立つと考えている。