2020 年 49 巻 4 号 p. 192-195
症例は9カ月男児,胎児診断で左室大動脈トンネルを指摘され,出生後約2時間で緊急左室大動脈トンネルパッチ閉鎖術を施行した.患児は大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症も合併しており,術後上行大動脈拡大の進行による気管の圧排,および呼吸器症状の遷延を認めたため,上行大動脈の後方縫縮術を施行した.術後気道圧排所見は消失し呼吸器症状が改善された.気道と隣接する大動脈後面を縮小する後方大動脈縫縮は,吊り上げ術,前方縫縮術,スライド術などに比してより直接的,かつ長期的な圧排回避効果が期待しうる.