東京電力・福島第一原子力発電所の事故を契機にして,日本では,エネルギー政策の根本的見直しが進められている。電源構成の見直しに当たっては,①再生可能エネルギー利用発電の拡充,②節電による電力使用量の削減,③技術革新による石炭火力発電のゼロ・エミッション化,の3要素を独立変数とし,原子力発電のウエートは,これら3要素の進展具合によって,「引き算」で決まると考えるべきである。それでも,2030年時点では,原子力発電のウエートが20%程度残ると考えられるが,バックエンド問題の解決の困難さから見て,原子力発電は,長期的には停止されることになると見込まれる。