2017 年 59 巻 10 号 p. 598-602
核データとは狭義には原子核と中性子の反応の確率であるが,一般的に言えば,原子核の物理的変化や反応の様子を表現するデータの事である。我が国が原子力開発に着手して以来,核データの開発は重要な技術開発のテーマであり,現在我が国の核データライブラリJENDLは世界で最も高い精度と完備性を兼ね備えた核データファイルの一つとして国際的に認知されている。本連載講座では,原子力開発に関係している方々を対象とし,シグマ特別専門委員会の監修を経て,核データ開発の意義,核データの開発の最新の状況,国際的な動向,そして今後の開発の方向性を解説する。