2018 年 60 巻 2 号 p. 97-100
原子力問題に限らないが,賛否両論がある事項,あるいはベネフィットとリスクとをはかりにかけて判断しなければならない問題の議論にあたっては,誰が「関係者(=ステークホルダー)」なのか,何のために議論をするのか,といった,いわばステークホルダーの定義とコミュニケーションの目的を明確化することは必須である。事業者や政府は,「国民全体」を対象とした画一的なアプローチに偏っている我が国の広報のあり方を見直し,例えば類似傾向を持つステークホルダー毎の対話の機会を増やす等の改善に取り組むことが望まれるとともに,特定の事業やプロジェクトの推進が目的である場合は,そのことを明言するべきであろう。