2020 年 62 巻 5 号 p. 263-267
福島第一原子力発電所の廃炉においては,世界でも例のない事故炉からの溶融燃料デブリ等の安全かつ円滑な取り出しが求められている。我々は,事故炉内の高放射線,水中等の過酷環境下において,炉内の燃料デブリ性状把握等サーベイランスが可能な遠隔分析を実現するために,レーザー光およびプラズマ発光を耐放射線性光ファイバーで長距離伝送するレーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)法を提案し,技術開発を進めている。本稿では,光ファイバー伝送LIBS技術を利用して様々な環境下や試料を用いて遠隔迅速その場分析を実証した試験結果,および過酷な環境へのセラミックマイクロチップレーザーを利用した遠隔LIBS分析技術の適用可能性について解説する。