2022 年 64 巻 10 号 p. 572-575
日本原子力研究開発機構(以下,原子力機構)では,民間で実施する多様な原子炉システムの概念検討等の支援を目的に,既往知見を最大限活用した設計最適化や安全評価を実現する「AI支援型革新炉ライフサイクル最適化手法(ARKADIA)」の整備を進めている。本報では,ARKADIAにおける設計最適化支援機能の一つとして実装を進めている,原子炉構造分野での最適化プロセスの整備状況について概説する。原子炉構造設計最適化では,最適化プロセスの確立に向けた具体化検討として,ナトリウム冷却高速炉の構造設計において重要な熱過渡荷重および地震荷重に着目した目的関数に対し,原子炉容器の板厚を設計変数とした最適化の例題を設定した。現実的な計算コストで設計最適化を実現するため,目的関数のパラメータとして設定した熱過渡荷重に対する破損確率の簡略化した評価手法と応力評価手法を用いた最適化プロセスの構築を進めている。