2022 年 64 巻 6 号 p. 331-336
前稿まで紹介したように,軽水炉プラントでは,環境助長割れは最も大きな材料課題であり,炉内構造物に使用されるステンレス鋼の他にも,原子炉耐圧部材に使用されるニッケル基合金および溶接金属のSCCは閉じ込め機能の劣化という視点から極めて重要な課題と認識されている。本稿では,ニッケル基合金のSCC損傷事例および対策の他,原子炉圧力容器鋼である低合金鋼および配管材である炭素鋼に関して環境助長割れならびに減肉事象について解説する。また最後に環境助長割れに関する寿命評価モデルを紹介する。