抄録
副腎腫瘍によるサブクリニカルクッシング症候群(SCS)手術症例の長期予後を報告する。1986年から2009年に副腎摘出術を施行したSCS 38例のうち,予後データの得られた29例。年令中央値54歳,観察期間中央値52ヵ月。術後副腎不全の発症は3例に認められたがいずれも軽症で済んだ。ステロイド補充期間:1年以上:5例(17%),半年以上1年未満:5例(17%),1週間以上半年未満:6例(21%),1週間未満:10例(35%),不明3例(10%)。高血圧は19例中12例(63%),糖尿病は8例中5例(62%)が改善。半数近くに何らかの自覚症状の改善が認められた。SCSに対する外科的治療は,重篤な副腎不全を起こすことなく施行でき,約半数の患者に臨床所見・症状の改善をもたらすと考えられた。