日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
特集1
日本人中年男性の甲状腺結節,甲状腺癌有病率
菊地 勝一竹下 卓志柴田 浩長谷 和生松塚 文夫Orlo. H Clark
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2013 年 30 巻 1 号 p. 2-6

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抄録
目的:定年退職予定自衛官50歳日本男性自衛官の甲状腺疾患(甲状腺結節,甲状腺癌)の有病率について横断的検索をした。対象,方法:1990年から2012年まで,自衛隊病院(中央病院,阪神病院,熊本病院)において,6,422人の自衛隊員(男性,女性含む)を対象とし,甲状腺検診(問診,触診,超音波検査)を施行した。甲状腺結節(囊胞は除く)と甲状腺癌の有病率について検索した。対象はすべて無症状であり,明らかに症状を有する者は除外した。6,422人のうち,6,182人は50歳男性,47人は50歳女性,149人は40歳男性,44人は40歳女性であった。甲状腺癌の家族歴,放射線の被曝歴のあるものはなかった。甲状腺結節の最大径を計測し,5mm以上の結節で悪性を疑う者は超音波ガイド下穿刺吸引細胞診検査を行った。結果:50歳男性の甲状腺結節は924名(有病率は14.9%)であった。甲状腺癌は19名(有病率0.31%)であった。甲状腺癌の最大径の平均は12.5mm(1mm~30mm)であった。臨床的TNM分類ではStage Ⅰが8名,Stage Ⅱが4名,Stage Ⅲが6名であったのに対し,病理学的TNM分類では,Stage Ⅰが7名,Stage Ⅱが2名,Stage Ⅲが9名であった。40歳男性の甲状腺結節は12名(有病率8.1%),甲状腺癌は1名(有病率0.67%),50歳女性の甲状腺結節は5名(有病率10.6%),40歳女性甲状腺結節は5名(有病率11.3%)であった。甲状腺結節の有病率は,50歳男性が40歳男性より優位に多かった。50歳,40歳とも甲状腺結節の有病率に関し,男性女性間で有意差はなかった(p>0.05)。結論:50歳以上の日本男性自衛官の甲状腺癌の有病率は0.3%で文献で報告されている率とほぼ同じであった。甲状腺結節の有病率は男性では年齢の高いほど高かったが,同年齢での性差はなかった。超音波検査を用いた日本人50歳男性に対する甲状腺スクリーニングは早期甲状腺癌を発見するうえで有用であると考える。
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