日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集2
外科医からみた内用療法の意義・限界
渋谷 洋杉野 公則長浜 充二北川 亘伊藤 公一
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2013 年 30 巻 2 号 p. 122-126

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抄録
【緒言】放射性ヨウ素内用療法は甲状腺癌進行例に対する術後療法として確立されている。【手術経験】当院の近年手術経験では約半数を高分化癌が占める。以前は甲状腺亜(準)全摘を選択していた場合も,現在は全摘へ移行している。【内用療法症例】症例1.著効例:濾胞癌術後多発肺転移の診断。内用療法2回施行にて寛解。症例2.集積のない無効例:濾胞癌術後多発骨転移指摘もシンチで異常集積なく病状進行。症例3.集積のある無効例:濾胞癌術後右鎖骨転移指摘。シンチにて強い集積認めるが,病巣は増大傾向。多臓器転移から死亡の転帰。【まとめ】甲状腺分化癌の多くの症例は外科的治癒切除可能であるが,遠隔転移症例は対応に苦慮する。外科医の立場からは無症候状態を長く維持することに大きな意味がある。無効症例に治療病床を占有させることは好ましくない。医療資源の有効活用のためには明快な治療適応基準を設けることが望ましい。
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