日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
特集1
多発性内分泌腫瘍症1型―疫学,診断,遺伝医療
小杉 眞司
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2013 年 30 巻 2 号 p. 98-101

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抄録
多発性内分泌腫瘍症1型(Multiple Endocrine Neoplasia type 1:MEN1)の診療ガイドラインとすべきガイドブックを作成した。疫学:MEN1の頻度は約3~4万人に1人程度と推定されるが,多くの患者が診断されていない可能性が高い。副甲状腺,下垂体,膵消化管腫瘍の罹病率はそれぞれ90%以上,約50%,約60%である。診断:3主要臓器のうち2病変,あるい1病変と家族歴またはMEN1遺伝子変異で診断される。膵消化管腫瘍の中で最も頻度が高いのはガストリノーマであり十二指腸粘膜下に小腫瘍として発生する。次いでインスリノーマ,非機能性腫瘍が多い。下垂体病変としては,プロラクチノーマが最も高頻度である。遺伝医療:MEN1関連症状の家族歴聴取がMEN1の診断に有用である。家族歴のあるMEN1患者,家族歴のないMEN1患者におけるMEN1変異陽性率はそれぞれ約90%,約50%である。MEN1家族歴がある患者の発症前遺伝子診断は変異保有者の早期診断を可能にする。MEN1遺伝学的検査を実施する際には遺伝カウンセリングを行う。
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