抄録
甲状腺全摘術の合併症である副甲状腺機能低下症は少なからず生じる。これを予防するためには副甲状腺をin situに血行温存する方法と自家移植をおこなう方法があり,いずれも有効な方法である。移植法では回復は期待できるが,血行温存法と比べてその機能回復の程度は劣り,移植だけであれば少なくとも2腺以上は必要となる。より良い機能温存のためには出来る限り血行温存に努めるべきであるが,血行温存できなかった副甲状腺は可能な限り摘出標本から探し出し1腺でも自家移植しておくと永続性副甲状腺機能低下症のリスクを下げることができる。