日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
原著
60歳以上の乳癌における温存乳房に対する放射線治療の効果に関する検討
内田 尚孝吹野 俊介遠藤 雅之
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2014 年 31 巻 3 号 p. 223-227

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抄録
(背景)70歳以上の高齢者でホルモンレセプター陽性乳癌に対しては,温存乳房に対する放射線療法の省略は容認しうるという見解がある。
(方法)2003年~2008年の期間に,StageⅠ-Ⅱ乳癌の診断で,当院にて乳房温存術または腫瘍径3cm以下で乳房切除術を行った60歳以上の女性67例を対象とした。乳房温存術のみ(Bp)群,乳房温存術+放射線療法(BpRT)群,乳房切除(Bt)群の局所無再発生存期間(LRFS),全生存期間(OS)を検討した。
(結果)Bp群,BpRT群の間でLRFS,OSに有意差は認めなかった。しかし,多変量解析の結果,放射線療法の省略は,局所再発および生存率低下の有意な関連因子であった。
(結論)60歳以上の乳癌において,乳房温存術後の放射線療法は,原則として実施することが望ましい可能性が示唆された。その省略は,例外的選択肢として容認しうる可能性が示唆された。
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