日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
症例報告
甲状腺髄様癌の内深頸リンパ節再発に対し治癒切除が可能であった多発性内分泌腫瘍症2A型の1例
手塚 理恵今井 常夫安藤 孝人毛利 有佳子高阪 絢子吉田 美和藤井 公人中野 正吾福富 隆志
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2014 年 31 巻 4 号 p. 319-322

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抄録
症例は23歳時にRET遺伝子変異が確認された多発性内分泌腫瘍症2A型(MEN2A)女性保因者。26歳時に画像上病変不明だがガストリン負荷試験陽性のため,甲状腺全摘術+両側D1郭清を施行した。術後14年目にCEA・カルシトニンの異常高値と右内深頸リンパ節腫大を認め,右内深頸リンパ節郭清術を施行した。姉・母・本人の順番で1995年から1999年に甲状腺手術を行い,いずれもStage Ⅰであった。姉・母は両側D3b郭清を施行し病理組織学的リンパ節転移は認めず(n0),現在まで再発の兆候はない。最後に手術した本例は両側D1郭清にとどめn0だったが,初回治療で郭清しなかった内深頸リンパ節に再発を認めた。MEN2Aに対して予防的外側リンパ節郭清は不要と考えられている。同一家系内で予防的外側リンパ節郭清をしなかった症例にのみ再発を認めたが,治癒切除が可能であった。微小MTC症例でも,長期間経てから再発をきたすことがあるので長期にわたって慎重な経過観察が必要である。
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