米国甲状腺学会(ATA)が,小児甲状腺結節・分化がんの取扱いについて,診断の進め方と手術の選択方法,術後管理の詳細について405編におよぶ論文精査と専門家の意見を反映し,欧米の現時点でのコンセンサスを取り纏めた。既報の成人甲状腺がん治療ガイドラインと比較すると,発見された小児甲状腺がんの治療手順が中心であり,原則成人版と大差はない。すなわち,予後良好な小児甲状腺結節・分化がんの術前のリスク推定による治療選択ではなく,術中所見と術後リスクを考慮した術式(全摘中心)の議論と,術後フォローアップ時における血中サイログロブリン(Tg)濃度を,再発癌マーカーとし,全摘後も高リスクと評価される患者への放射性ヨウ素内用療法を推奨した管理ガイドラインとなっている。小児甲状腺がんの前向き調査がなく,自然経過を考慮した議論の余地もあり,現在実施されている福島県の約38.5万人を対象とする甲状腺超音波検査の今後が重要となる。