2016 年 33 巻 2 号 p. 121-127
症例は56歳男性。検診で高カルシウム血症と腎機能障害を指摘された。Intact-PTHが高値であり原発性副甲状腺機能亢進症が疑われた。頸部超音波検査で,甲状腺左葉に囊胞変性を伴った結節性甲状腺腫と,甲状腺右葉下極の甲状腺外背側に副甲状腺腫を疑わせる充実性結節を認めた。99mTc-MIBIシンチグラム検査では両病変に集積を認めた。甲状腺左葉切除と右下副甲状腺腫摘出が施行された。左葉の結節は免疫染色を含めてカルチノイド腫瘍を疑わせる病理像を呈していたが,頭頸部内分泌腫瘍免疫染色アルゴリズムに沿って鑑別することで,甲状腺内副甲状腺腺腫と診断された。右葉下極の結節も副甲状腺腺腫であり,重複副甲状腺腺腫であった。原発性副甲状腺機能亢進症と診断された症例では,異所性副甲状腺腫を含む重複副甲状腺腫を念頭に置いた精査が必要と考えられた。術後3年,重度の骨飢餓症候群を認めたが,活性型ビタミンD製剤投与にて血清カルシウム値コントロール良好で推移しており,明らかな再発所見は認めていない。