日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
特集2
甲状腺分化癌の予後因子
伊藤 康弘宮内 昭
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2019 年 36 巻 3 号 p. 152-157

詳細
抄録

甲状腺分化癌はおおむね予後良好な疾患であるが,一部に予後不良な症例が存在する。これらをきちんと見分け,慎重に治療に当たることが大切である。乳頭癌に関しては,術前に評価される予後因子として高齢,遠隔転移の存在,大きな腫瘍径およびリンパ節転移,術中に評価されるものとして原発巣および転移リンパ節からの浸潤,術後に評価されるものとして高細胞型やhobnail variantのような特殊な組織型,早い細胞増殖能,そして短いサイログロブリン倍加時間が挙げられる。濾胞癌については,高齢,遠隔転移の存在,そして広汎浸潤型であることが予後因子であり,広汎浸潤型と診断された場合,補完全摘と放射性ヨウ素アブレーションが勧められる。微少浸潤型においても脈管浸潤が比較的高度なものや細胞増殖能が早いものは比較的予後不良であるので,慎重な経過観察が必要である。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top