日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
36 巻, 3 号
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会告
目次
編集委員会
特集1
  • 菅間 博
    2019 年36 巻3 号 p. 129-130
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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  • 近藤 哲夫
    2019 年36 巻3 号 p. 131-136
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    第4版内分泌腫瘍WHO分類(2017年)では甲状腺濾胞上皮腫瘍に良性と悪性の中間intermediate malignancyもしくは境界病変 borderline lesionに相当する新たな疾患概念が提起された。この概念に含まれるのは「乳頭癌様核を有する非浸潤性甲状腺濾胞性腫瘍noninvasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features (NIFTP)」と悪性度不明uncertain malignant potential (UMP)と総称される分化型濾胞上皮腫瘍の一群である。第7版甲状腺癌取扱い規約にはない用語,疾患定義であるため,本邦における取り扱いについては共通の理解と十分な議論が必要である。本稿ではNIFTPとUMPを含む被包性濾胞性腫瘍と境界病変を概説する。

  • 日野 るみ
    2019 年36 巻3 号 p. 137-140
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    WHO分類第4版(内分泌腫瘍)の改訂で,濾胞癌Follicular thyroid carcinoma(FTC),NOSの亜分類は3項目となりminimally invasive, encapsulated angioinvasiveとwidely invasiveになった。WHO第3版でのPTC亜分類は,minimally invasiveとwidely invasiveの2項目であったが,従来のminimally invasiveが今回の改訂でminimally invasiveとencupsulated angioinvasiveに分かれた。Widely invasiveは従来通りである。FTCの病理診断では,細胞異型に関わらず被膜浸潤と静脈浸潤を評価する点は前回から変わらない。静脈浸潤が多い場合,被膜浸潤だけ,あるいは静脈浸潤が少ないminimally invasiveよりも予後が有意に悪いという報告の蓄積により,minimally invasiveからencupsulated angioinvasiveが分離独立している。FTCの改訂の主な焦点は,浸潤様式から見た場合,微少浸潤型濾胞癌は静脈浸潤に重点が置かれ,従来のminimally invasiveがさらに2つに分かれた点である。被膜浸潤がない場合,静脈浸潤の有無で良悪が分かれる事から,静脈浸潤の判定は慎重に行わなければならない。

  • 林 俊哲, 廣川 満良, 兼松 里紗, 鈴木 彩菜, 樋口 観世子, 宮内 昭
    2019 年36 巻3 号 p. 141-145
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    甲状腺低分化癌は高分化癌(乳頭癌ないし濾胞癌)と未分化癌との中間的な形態像および生物学的態度を示す濾胞上皮細胞由来の悪性上皮性腫瘍と定義される。病理形態学的には,低分化癌細胞は濾胞構造やコロイド産生に乏しく,充実性,索状,島状といった特徴的な増殖パターン(STIパターン)を示す。WHO分類の13年ぶりの改訂では,病理組織学診断基準,病因,発生機序,遺伝子変異,臨床的特徴,予後因子など内容が大幅に改定および追加された。これにより,低分化癌の病理診断上の混乱が解消されることが期待される。しかし,不完全な記載や対応も幾つか残されている。本稿では低分化癌の WHO分類第4版の改訂点,問題点を中心に解説する。

  • 千葉 知宏, 住石 歩, 菅間 博
    2019 年36 巻3 号 p. 146-150
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    甲状腺腫瘍の分類はWHO第4版において,いくつかの項目が変更された。分化型甲状腺癌に関しては,項目の変更以上にTCGA(The Cancer Genome Atlas)の遺伝子解析結果とその解釈に関する記載が目立っている。中でも分化型甲状腺癌である乳頭癌はBRAFV600E変異がドライバー遺伝子となるBVLタイプとH/K/NRAS変異がドライバー遺伝子となるRLタイプに大別されることが強調されている。こうした分子診断によるサブグループ分類は,濾胞癌や良性の濾胞腺腫にまで拡大される可能性がある。病理診断と分子診断の統合により,分類の最適化や治療薬開発が推進されることが期待される。

特集2
  • 伊藤 康弘
    2019 年36 巻3 号 p. 151
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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  • 伊藤 康弘, 宮内 昭
    2019 年36 巻3 号 p. 152-157
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    甲状腺分化癌はおおむね予後良好な疾患であるが,一部に予後不良な症例が存在する。これらをきちんと見分け,慎重に治療に当たることが大切である。乳頭癌に関しては,術前に評価される予後因子として高齢,遠隔転移の存在,大きな腫瘍径およびリンパ節転移,術中に評価されるものとして原発巣および転移リンパ節からの浸潤,術後に評価されるものとして高細胞型やhobnail variantのような特殊な組織型,早い細胞増殖能,そして短いサイログロブリン倍加時間が挙げられる。濾胞癌については,高齢,遠隔転移の存在,そして広汎浸潤型であることが予後因子であり,広汎浸潤型と診断された場合,補完全摘と放射性ヨウ素アブレーションが勧められる。微少浸潤型においても脈管浸潤が比較的高度なものや細胞増殖能が早いものは比較的予後不良であるので,慎重な経過観察が必要である。

  • 内野 眞也
    2019 年36 巻3 号 p. 158-164
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    甲状腺髄様癌は他の甲状腺癌と大きく異なる特徴がある。第1に遺伝性と散発性(非遺伝性)を明らかすることができる点である。原因遺伝子はRETがん遺伝子であり,血液からDNAを抽出して検査することにより遺伝性か散発性かの鑑別が可能である。第2に髄様癌に特異的な腫瘍マーカーであるカルシトニンが存在することである。これを測定することにより,髄様癌細胞の存在が微小な数であっても診断可能であり,鋭敏に髄様癌細胞を検出することができるマーカーであるため,再発が画像診断で明らかになる前に生化学的に診断できる利点がある。もうひとつの髄様癌の腫瘍マーカーでもあるCEAは,髄様癌に特異的ではないが,髄様癌がより低分化でカルシトニン上昇の程度が低い場合に,カルシトニンを補足する意味で重要となる。これら腫瘍マーカーの倍加時間が短いほど,腫瘍細胞の増殖速度が速いことを意味し,予後不良であることを意味する。術後カルシトニン値の正常化は腫瘍遺残のないことを示し,再発予後は良好となるので,術前のカルシトニン値あるいはCEA値からリンパ節転移の拡がりを予測し,系統的な郭清を行うことが重要である。その他の臨床的因子で生命予後に関わる重要な因子は,年齢,腫瘍径,甲状腺外浸潤,リンパ節転移,遠隔転移,非根治手術である。

  • 杉谷 巌
    2019 年36 巻3 号 p. 165-170
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    甲状腺未分化癌(ATC)は稀ながら極めて予後不良なorphan diseaseで,その1年生存率は5~20%程度である。患者の多くは高齢者であり,外科的根治切除,放射線外照射,多剤併用化学療法などによる集学的治療を積極的に行うべきか,quality of survival(QOS)を重視してbest supportive careに徹するべきか迷う場合も少なくなかった。ATCの予後因子研究によって,prognostic index(PI)が開発され,その有用性が国内多施設共同研究レジストリである甲状腺未分化癌研究コンソーシアムにおいて検証された。その結果,腫瘍の進展度(stage)や患者状態と合わせてPIなどの生物学的予後因子を考慮することで,積極的治療が生存期間の延長をもたらしうる群とQOS維持を重視すべき群とを区別したうえでのATCの個別化治療がある程度可能となった。

  • 東山 卓也, 宮内 昭
    2019 年36 巻3 号 p. 171-175
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    甲状腺リンパ腫は急速に増大するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を主とする大細胞型リンパ腫と,MALTリンパ腫を主とする進行の遅いものがあるため,予後を判断するのに病型の診断が重要である。病型診断には組織採取による病理診断と染色体検査などの補助診断を要する。甲状腺リンパ腫の病型は限られている。大細胞型リンパ腫では,短時間で気道狭窄,気道閉塞をおこす可能性もあるため,迅速な対応が必要である。リンパ腫は一般に治療への反応が良好であるので,病型診断を的確に行い,それにあわせた治療を行う必要がある。MALTリンパ腫は非常に緩徐に進行し,自然消退することもあるため,慎重な経過観察も含めた対応が必要である。

原著
  • 真栄田 裕行, 金城 秀俊, 安慶名 信也, 崎浜 教之, 鈴木 幹男
    2019 年36 巻3 号 p. 176-181
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    縦隔内腺腫様甲状腺腫(Adenomatous Goiter:AG)のうち,頸部甲状腺との連続が見られないものは迷入型AGとして扱われている。

    今回われわれは58歳女性で,甲状腺両葉の比較的巨大なAGと縦隔内迷入型AGの同時性発生例を経験した。腫瘤最大径が約8cmの,頸部AGと連続性のない迷入型AGであることに加え,高度の肥満,短頸・猪首例で,頸部を過伸展させても腫瘤が頸部方向に挙上されない例であったため,迷入腫瘤の頸部からの摘出は困難と判断した。ただし悪性腫瘍の可能性は否定されており,手術侵襲を最小限に留めるため頸部外切開とvideo-assisted thoracic surgery(VATS)を組み合わせた摘出術を選択した。

    一般に胸骨下型AGおよび迷入型AGの経頸部アプローチによる摘出限界は,それぞれ大動脈弓上縁,および腕頭動脈上縁であるとの報告が多く見られるが,本症例においても過去の報告に準じて胸骨下AG腫瘤については経頸部法で摘出した。一方迷入腫瘤に対しては安全性を考慮しVATS法を用いて摘出した。VATS法は鎖骨や胸骨の展開を伴うアプローチより低侵襲であり,悪性腫瘍が否定される場合には積極的に併施するべき術式と考えられた。

症例報告
  • 川﨑 由香里, 杉野 圭三, 楠部 潤子, 西原 雅浩, 三隅 俊博, 嶋本 文雄
    2019 年36 巻3 号 p. 182-188
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/25
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    症例は64歳女性。X年12月甲状腺左葉4.8cm大の濾胞性腫瘍に対し甲状腺左葉切除術を施行し,病理組織学的に濾胞腺腫と診断された。X+2年11月に頸部皮下腫瘤が出現し濾胞癌の転移と診断され,その後も転移性皮下腫瘍の再発を繰り返すため,甲状腺全摘術およびI-131による放射性ヨウ素内用療法を行った。経過観察中のX+11年8月に心不全症状により緊急入院。左心室内の腫瘍性病変による心不全と診断され,緊急心臓腫瘍摘出術を施行されたが,心臓腫瘍の再増大による不整脈の出現,心不全により心臓手術4週後に永眠された。心臓腫瘍の病理組織学的検査では甲状腺未分化癌の転移と診断された。

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