日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集2
超選択的副腎静脈サンプリングからみえる副腎の血管解剖と臨床
牧田 幸三
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2020 年 37 巻 4 号 p. 257-262

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抄録

超選択的副腎静脈サンプリングによる副腎内の支脈別採血により,中心静脈レベルの採血データの不安定性が補完され,原発性アルドステロン症のより精確な診断が期待できる。副腎内ホルモンマッピングは治療成績の向上につながり,両側腺腫の部分切除などの新たな治療戦略も生んでいる。副腎静脈の解剖形態は副腎内の血流のダイナミズムに大きな影響を与え,結果的にホルモンの拡散状態や濃度変化に大きく影響する。サンプリングの施行や採血データ解釈においては,血管造影学的解剖のみならず,背景にある副腎の微細血管構築(組織学的知識)の理解も望まれる。サンプリング施行前にCTによる精細な観察によって,副腎の中心静脈を同定し,副腎周囲の血管解剖を把握することや腺腫の存在部位を確認することが重要なことは言うまでもないが,副腎内支脈は描出不可能なことや径5mm以下,数mmの腺腫はしばしば検出不能であることも知っておくべきである。

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