分化型甲状腺癌に対する放射性ヨウ素(radioactive iodine [RAI])治療が開始され,75年が経過した。これまで積み上げられた多くの研究結果に基づき,2015年にAmerican Thyroid Association (ATA)のガイドラインが,2018年に本邦の甲状腺腫瘍診療ガイドラインが改訂されている。未だ未解明な点が数多く残されているものの,RAI治療についてもエビデンスに基づく適切な施行が求められている。
本邦では2010年11月に1,110 MBq外来“アブレーション”が承認されたが,事実上遠隔転移のない中~高リスク患者を対象に補助療法(adjuvant therapy)として行われている。自験例を含めた近年の報告によると,対象患者のリスクが上がるほど“アブレーション”成功率が低下することが示唆された。適正な対象患者の選択には血中サイログロブリン値が指標となる可能性がある。