2022 年 39 巻 4 号 p. 276-281
周術期において抗血栓療法の休薬は血栓塞栓症リスクを上昇させるが,継続したまま手術を行うと出血リスクを上昇させる。われわれは2015年以降,基本的に抗血栓療法継続下に手術を行う方針としているため後方視的にその影響を検討した。
2009年1月から2021年6月までに根治目的に甲状腺・副甲状腺手術を行ったのべ1,156例を対象とし,そのうち副甲状腺手術症例159例では術前抗血栓療法の有無や継続・休薬によらず術後出血を認めなかった。甲状腺手術症例997例のうち術前抗血栓療法を50例(5.0%)が受けており,継続下の手術は24例であった。甲状腺手術症例全体のうち,術後出血を19例(1.9%)に認め,術前抗血栓療法群50例のうち3例(6.0%),継続下手術のうち2例であった。多変量解析では甲状腺手術における術後出血の関連因子はバセドウ病手術と抗凝固薬継続下手術であったが,DOAC継続下手術の術後出血への影響は有意でなかった。