日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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会告
目次
編集委員会
特集1
  • 原 尚人
    2022 年 39 巻 4 号 p. 221
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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  • 中条 哲浩
    2022 年 39 巻 4 号 p. 222-224
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    一般に甲状腺内視鏡手術を比較的安定した手技で行うには20~30症例の術者経験が必要といわれるが,内視鏡手術の普及・均霑化には適切な研修・指導体制の構築が重要となる。施設認定取得における研修については様々な問題点が指摘されていたが,このほど日本内分泌外科学会において「甲状腺・副甲状腺内視鏡手術に関する研修ガイドライン」が作成され,研修・指導体制に関する指針が公表された。この指針ではこれまで常習化していた必要最低限の術者症例のみを他施設で経験することを推奨せず,「自施設への指導医招聘」もしくは「受入れ可能な施設への短期留学」を推奨している。同時に指導医(プロクター)の条件も設定され,指導医氏名も公表されたが,新たな指導医の育成・技術の向上を目的として日本内分泌外科学会内に技術認定制度を発足させることが決定している。本稿では甲状腺内視鏡手術の均霑化に向けた本学会の取り組みについて概説する。

  • 宮 章博
    2022 年 39 巻 4 号 p. 225-227
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    2022年より日本内分泌外科学会の総会は年1回になったので,診療レベルを向上させて良い医療を提供するために,本学会では各地域に地方会・研究会を整備・設立することを立案して,支部会・地方会準備委員会を設けた。そこで,2022年3月に全会員を対象として内分泌外科学に関する発表が可能な地方会・研究会の実態調査をWEBで実施したところ,97件の地方会・研究会の報告があった。複数科の学会員で開催されている地方会は少ないことが分かったので,今後地方会を創設する場合は,複数科の会員が参加できることが求められる。しかしながら,参加者数や運営費用などを考えると,新たな地方会を設立して継続することは非常に困難である。そこで次の3つのことを提案する。1)既存の地方会を認定して発展させる。2)本学会主催で地方会をWEBで開催する。3)学会ホームページに地方会の情報を掲載する。

  • 山﨑 春彦, 益戸 功彦, 菅沼 伸康, 岩崎 博幸, 戸田 宗治, 中山 博貴, 杉野 公則, 松津 賢一, 松井 愛唯, 角谷 芽依, ...
    2022 年 39 巻 4 号 p. 228-232
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    若手外科医希望者が減少傾向にある中での伸び悩みもあり,新たに内分泌外科を志す若手医師は決して多くないのが現状である。横浜市立大学外科治療学教室では初期研修医を対象とした手技セミナーを年に数回開催している。主な目的は研修医のリクルートだが,若手医局員が実際の手術器具を用いて研修医の指導をすることは技術を後輩に伝えるという外科医にとって重要な教育という側面も有している。内分泌外科医が治療を行う疾患は腺腫様甲状腺腫や甲状腺癌などの腫瘍性疾患のみならず,バセドウ病や橋本病などの機能性疾患も含まれる。また,小児から高齢者まで手術の対象年齢は幅広く,時には妊婦など個々のライフワークステージも考慮した治療が求められ,外科医としてのやりがいは十分である。若手内分泌外科医を増やすためには若手医師に情報を発信し身近なロールモデルを提示していくことが重要だと考える。

  • 滝澤 奈恵, 元木 佑典, 大杉 治之, 木下 秀文
    2022 年 39 巻 4 号 p. 233-237
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    泌尿器科は内分泌外科の一端を担う診療科の一つであるが,実臨床の現場を見ないと学生,研修医にとっては外科のイメージが湧きにくい診療科である。しかしながら,日本泌尿器科学会における会員数はゆるやかに上昇傾向を続けている。これは,各大学,病院の泌尿器科医の日々の活動に加え,学会が中心となって行っている学生,研修医に対する広報活動が功を奏しているものと考えられる。日本泌尿器科学会では,初期研修医を対象とした合宿形式のセミナーを開催しているほか,本学においても新規入局者獲得に向けた情報発信に腐心している。

    日本泌尿器科学会,本学における泌尿器科の魅力を発信するための取り組み,ロールモデルとなる若手医師の育成,内分泌外科領域における泌尿器科について言及する。泌尿器科学会での取り組みが,内分泌外科学の発展の一助となれば幸いである。

  • 北村 守正
    2022 年 39 巻 4 号 p. 238-240
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    魅力的な内分泌外科にするために,われわれ耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が内分泌外科学会にどのように寄与していくのがよいのか,また耳鼻咽喉科・頭頸部外科医に対してどのように興味を持ってもらうかを考えてみた。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が得意とする喉頭・気管・縦隔などの拡大手術や,甲状軟骨形成術など音声外科手術など技術面で寄与することができる。また内分泌外科に取り組む体制や教育システムを構築し,診断から手術,フォローアップという一連の流れの中で甲状腺外科に興味を持ってもらったり,ワークライフバランスのよい甲状腺手術において女性医師が活躍しやすい領域にしていくことも大切である。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医の中には内視鏡下甲状腺手術の技術を頭頸部癌手術に応用しようと考えている人も多いため,内視鏡下手術をきっかけに,内分泌外科を知ってもらい,学会参加につなげていければよいのではないかとも考えている。

  • 菅沼 伸康
    2022 年 39 巻 4 号 p. 241-243
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    日本内分泌外科学会は,甲状腺,副甲状腺,副腎,前立腺,乳腺,膵臓,下垂体をはじめとした様々な内分泌疾患を対象として,外科,耳鼻咽喉科・頭頸部外科,泌尿器科,内科,産婦人科,放射線科,病理診断科など多くの診療科により構成されている。「若手内分泌外科医の育成」「女性医師支援・子育て支援,働き方改革」「内分泌外科専門医の盤石化」「地域格差の是正」の4項目を重要課題として推進していくことが目標として掲げられており,本特別企画では「若手内分泌外科医の育成」をテーマとして,甲状腺内視鏡手術のシステム構築や地方会創設の取り組み,各領域における若手内分泌外科医の育成に関して5人の先生方よりご発表いただいた。

特集2
  • 井川 掌
    2022 年 39 巻 4 号 p. 244
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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  • 元木 佑典, 滝澤 奈恵, 大杉 治之, 木下 秀文
    2022 年 39 巻 4 号 p. 245-249
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    両側副腎皮質大結節性過形成primary bilateral macronodular adrenal hyperplasia(PBMAH)は,かつてACTH非依存性大結節性副腎皮質過形成(ACTH-independent macronodular adrenal hyperplasia:AIMAH)と呼ばれていた病態を含む疾患概念である。近年,両側副腎大結節性過形成が必ずしもACTH非依存性にコルチゾール自律性産生を生じないことが明らかとなったため,「ACTH非依存性」といわずPBMAHあるいはbilateral macronodular hyperplasia(BMAH)などと呼ばれるようになった。PBMAHに対する手術療法は両側副腎摘除術が標準とされてきたが,片側副腎摘除術の有用性が諸家より報告されている。PBMAHについて概説するとともに,自験例6例について報告する。

  • 西本 紘嗣郎, 向井 邦晃
    2022 年 39 巻 4 号 p. 250-255
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    原発性アルドステロン症は,副腎からの過剰なアルドステロン産生により,水分と塩分が過剰に貯留し高血圧になるだけでなく,アルドステロン過剰自体が心血管系に炎症や線維化を誘発することから,高率に脳卒中や心臓病を発症させる。原発性アルドステロン症は主に,アルドステロン産生腺腫(aldosterone-producing adenoma: APA),特発性アルドステロン症(idiopathic hyperaldosteronism: IHA),および稀な家族性アルドステロン症に分類される。近年我々はアルドステロン合成酵素の免疫染色法を報告し,さまざまなアルドステロン産生病変を視覚化してきた。本稿では,それらの病変を供覧するとともに治療法について概説し,部分切除術の適応に言及する。

  • 氏家 剛, 植村 元秀, 河嶋 厚成, 宮川 康, 辻畑 正雄, 野々村 祝夫
    2022 年 39 巻 4 号 p. 256-260
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    褐色細胞腫は副腎髄質のカテコールアミン産生クロム親和性細胞から発生する腫瘍であり,過剰に放出されるカテコラミンによって多彩な症状を呈する。両側褐色細胞腫は同時性もしくは異時性に確認され,全体の約10%を占めるといわれている。遺伝子異常を背景に有する症例がほとんどで,他疾患を併発している場合もあるので注意が必要である。

    転移を認めない場合は,摘除術が標準治療となる。両側褐色細胞腫の場合,両側副腎をすべて切除するのか,副腎皮質温存を図るのかに関しては,大規模なRCTがないため,コンセンサスは得られていない。全摘を行えば生涯を通したステロイド補充が必要となり,副腎クリーゼのリスクを背負うこととなる。部分切除を行えば,ステロイド補充の回避を目指せる一方で再発リスクが上昇する。今後,症例を蓄積し,両側褐色細胞腫に対する高いエビデンスに基づいた治療戦略の確立を期待したい。

  • 金坂 学斗, 今村 有佑, 竹内 信善, 坂本 信一, 市川 智彦
    2022 年 39 巻 4 号 p. 261-265
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    両側副腎悪性腫瘍は極めて稀であり,副腎皮質癌や褐色細胞腫,副腎原発悪性リンパ腫,悪性腫瘍の副腎転移などが存在する。両側副腎皮質癌の治療は片側の治療と同様に,原則は手術による根治的切除が第一選択である。一方で根治的切除ができない場合は,ミトタンと抗がん剤の併用療法などが検討される。両側副腎皮質癌を認めた場合は,遺伝性疾患の存在も検討する必要があり,既往歴や家族歴の十分な問診を要する。遺伝性疾患が存在した場合は家族を含めた遺伝カウンセリングが必要となる。その他の両側副腎悪性腫瘍については原疾患の治療方針に則るが,診断や治療のために副腎摘除術が選択されることがある。悪性腫瘍の病勢コントロールのみならず内分泌学的な全身管理も治療経過を通して重要である。

  • 築井 克聡, 小笠原 尚之, 黒瀬 浩文, 植田 浩介, 井川 掌
    2022 年 39 巻 4 号 p. 266-271
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    両側副腎病変は偶発性副腎腫瘍の7.8~15%程度を占め,病因の分布も片側副腎腫瘍と異なる。両側副腎腫瘍のほとんどが腫瘍性病変であるが,非腫瘍性病変も少数ながら報告されている。非腫瘍性病変は稀であるが,感染症,囊胞性腫瘤,自己免疫疾患を含む全身性疾患など病因が多岐にわたり,更に両側副腎の萎縮,過形成,囊胞性腫瘤,石灰化など多様な画像所見や副腎不全を含めた様々な臨床像を呈することから診断・治療に難渋することもある。そのため,それぞれの病因の特徴を理解しておくことが必要であり,その特徴に合わせたマネージメントが重要となる。しかしながら,症例数が少なく明確な指針がないのが現状である。非腫瘍性病変を含めた両側副腎病変に対する検討が今後更に進むことを期待する。

原著
  • 浜口 寛子, 笹井 久徳, 中村 彰子, 小池 良典
    2022 年 39 巻 4 号 p. 272-275
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    甲状腺専門病院を除く施設で耳鼻科医が執刀する甲状腺術後の副甲状腺機能低下症の発生率が高い印象を受けるとともに,カルシウム(Ca)製剤の長期補充による弊害も散見される。当施設における術後副甲状腺機能低下症の頻度を検討し,積極的に副甲状腺およびその血流を温存する術中操作を定型化する意義について考察した。

    2019年7月から2020年11月まで,住友病院耳鼻咽喉科において行った甲状腺全摘術50例について術後副甲状腺機能低下症の頻度を検討した。副甲状腺の局在と血流から機能温存を意識した術中操作および自家移植を定型的に実施した。副甲状腺機能低下は,アルブミン補正Ca値が基準値未満と定義し,一過性機能低下症の定義は術後2カ月以内に補充を中止できたもの,永続性機能低下はそれ以降も補充を要したものとした。

    永続性機能低下症は,乳頭癌両側外側区域郭清施行の1症例のみであり,積極副甲状腺機能温存を意識した術中操作を定型的に行うことが高い機能温存率に寄与すると考える。

  • 牛呂 幸司, 安里 亮, 山本 卓矢, 安田 佳織, 伊藤 通子, 辻 拓也, 嘉田 真平, 辻 純
    2022 年 39 巻 4 号 p. 276-281
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    周術期において抗血栓療法の休薬は血栓塞栓症リスクを上昇させるが,継続したまま手術を行うと出血リスクを上昇させる。われわれは2015年以降,基本的に抗血栓療法継続下に手術を行う方針としているため後方視的にその影響を検討した。

    2009年1月から2021年6月までに根治目的に甲状腺・副甲状腺手術を行ったのべ1,156例を対象とし,そのうち副甲状腺手術症例159例では術前抗血栓療法の有無や継続・休薬によらず術後出血を認めなかった。甲状腺手術症例997例のうち術前抗血栓療法を50例(5.0%)が受けており,継続下の手術は24例であった。甲状腺手術症例全体のうち,術後出血を19例(1.9%)に認め,術前抗血栓療法群50例のうち3例(6.0%),継続下手術のうち2例であった。多変量解析では甲状腺手術における術後出血の関連因子はバセドウ病手術と抗凝固薬継続下手術であったが,DOAC継続下手術の術後出血への影響は有意でなかった。

  • 山本 真理, 山下 哲正, 桑原 ちひろ, 池田 雅彦
    2022 年 39 巻 4 号 p. 282-286
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/23
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    レンバチニブは多彩な副作用が報告されているが,市販後調査の結果胆囊炎が報告され重大な副作用として添付文書に追加された。2015年5月から2021年1月の間に当科でレンバチニブを投与した切除不能甲状腺癌26例の後方視的検討の結果,CTにて急性胆囊炎の所見を呈した症例が12例(44%)に認められた。12例中大半の症例がレンバチニブの休薬を余儀なくされ治療中止となった症例もあり,胆囊炎はレンバチニブによる甲状腺癌治療に大きな支障をきたす注意すべき副作用であると考えられた。レンバチニブ開始後は胆囊炎を早期に発見し適切に治療を行う事により,胆囊炎の重篤化による休薬期間の延長や治療中止を避ける事が期待される治療効果を得るためには非常に重要であると考えられた。

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