アジア市場経済学会年報
Online ISSN : 2424-2195
Print ISSN : 2185-1379
アジア市場経済における価値連鎖概念に関する研究―メコン地域におけるタイプラスワン戦略の事例を中心に―
藤岡 資正
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 24 巻 p. 1-9

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抄録

海外現地法人を有する日系製造業の約80%にあたる8,300社がアジアに立地しており(通商白書2019),その多くが国境を跨いで形成されるバリュー・チェーンの一角を担いながら価値システム(Porter 1985)を形成している。国際貿易の約80%がグローバル・バリュー・チェーン(Gereffi 2014, Gereffi & Korzeniewicz 1994)を介して行われているとされ(UNCTAD 2013),アジア市場経済における日系製造業はこうしたGVCの設計者として価値システムの構造化に重要な役割を果たしている。価値連鎖をめぐる概念は企業実践の複雑化にともないその外延を拡張する形で巨視的にも微視的にも用いられていることから,本稿では多様な文脈で用いられる価値連鎖に関する概念を整理したうえで,メコン地域でのタイプラスワン戦略の事例を取り上げながら,社会的・制度的・組織的な文脈においてこうした価値連鎖の実務を考察することの重要性を示唆する。

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