アジア市場経済学会年報
Online ISSN : 2424-2195
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最新号
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  • 藤岡 資正
    2021 年 24 巻 p. 1-9
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    海外現地法人を有する日系製造業の約80%にあたる8,300社がアジアに立地しており(通商白書2019),その多くが国境を跨いで形成されるバリュー・チェーンの一角を担いながら価値システム(Porter 1985)を形成している。国際貿易の約80%がグローバル・バリュー・チェーン(Gereffi 2014, Gereffi & Korzeniewicz 1994)を介して行われているとされ(UNCTAD 2013),アジア市場経済における日系製造業はこうしたGVCの設計者として価値システムの構造化に重要な役割を果たしている。価値連鎖をめぐる概念は企業実践の複雑化にともないその外延を拡張する形で巨視的にも微視的にも用いられていることから,本稿では多様な文脈で用いられる価値連鎖に関する概念を整理したうえで,メコン地域でのタイプラスワン戦略の事例を取り上げながら,社会的・制度的・組織的な文脈においてこうした価値連鎖の実務を考察することの重要性を示唆する。

  • Jing Zhang
    2021 年 24 巻 p. 11-18
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    With the progress of digitalization in recent years, providers can engage in post-purchase consumer experience through online customer touchpoints, which has not been noticed in the past. The purpose of this research is to clarify how cusotmer experience is generated after purchase, and to examine how to utilize online customer touchpoints from a marketing perspective. We conducted a group interview with Chinese customers and analyzed the data to organize types of post-purchase information, and post-purchase information usage activities. Then, we discussed the generation of customer experience and discussed marketing strategies that utilize online customer touchpoints.

  • 三好 純矢
    2021 年 24 巻 p. 19-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    現在COVID-19の影響により縮小を余儀なくされている観光事業であるが,今後は事業を再開し拡大していかなければならない。本研究では,外国人の訪日観光体験の一つとなる民泊体験において,住宅提供者(家主)の宿泊体験への関与が,民泊体験の価値に与える影響を明らかにする。体験型の民泊が増加する中,ホテルや旅館のように専門的な知識や技術に基づいた宿泊サービスを提供するスタッフがいないことが,民泊事業の特徴の一つである。外国人観光客の場合,言語や慣習などがサービス体験や相互作用の障壁となることが想定される。このような民泊事業の特徴を踏まえ,本研究では家主居住型の民泊における台湾人観光客との価値共創について検討する。

  • 上澤 宏之
    2021 年 24 巻 p. 29-37
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    北朝鮮の金正恩体制下における「経済改革」は,既存社会主義理論の枠内での解釈や経済管理方法の部分的修正に止まっていることなどから,1960年代にみられたソ連・東欧社会主義国の改革措置と類似した低いレベルの動きと言えるが,同法制化を通じて市場メカニズムを活用する方向性を明示するなど従来と異なる新しい変化もうかがえる。現在,これら改革措置を中心とした金正恩体制の経済発展戦略は,国連制裁により「制裁への対抗」という内向きの性格に変容した上,昨今のコロナ禍と水害によって更なる軌道修正を迫られるなど重大な試練期を迎えている。

  • 藤岡 芳郎
    2021 年 24 巻 p. 39-46
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    1960年代半ばから日系小売業のタイ市場への本格的な進出が始まった。1990年代までに多くの日系小売業が進出した。しかし,20世紀に進出した企業の多くはすでに撤退を余儀なくされている。現在も引き続き多くの日系小売業が事業を積極的に展開している。バンコク市場の中で,日系小売業で受け入れられているのはセブンイレブン,ユニクロなどまだ少数の企業だけである。現地の市場はすでに成熟化しており日本市場で成功したマーケティングを実施してもバンコクでは特徴が打ち出せず事業を継続できるだけの収益が上がらないことが最大の課題である。そこで,日系小売業が強みを活かして現地市場に受け入れられるための方法についてあらかじめ設定したフレームワークをとおして考察する。

  • 髙橋 宏幸
    2021 年 24 巻 p. 47-54
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    インドネシアでは,若い世代を中心に日本食の人気が年々高まっている。現在,首都ジャカルタだけで約1,300軒の日本食レストランがある。外食市場の規模(2017年時点)は約370億ドルと日本の約6分の1に過ぎず,今後の成長が期待できる。本稿では,日系外食企業のインドネシア事業について,原材料調達を中心に,3カ国・地域(中国,タイ,台湾)の事例とも比較しながら,その実態について,アーキテクチャ論から,分析を行った。その結果,米,野菜,豚肉・鶏肉については現地産(モジュラー型)が使用されているが,牛肉は海外産(インテグラル型)が中心であり,調味料は日本産のもの(インテグラル型)が使われていることが明らかになった。一方,鮮魚については種類により,海外産と現地産(近海で獲れたもの)に分かれる。4カ国・地域での比較では,米,野菜,豚肉・鶏肉などはほとんど現地産であるが,特に調味料については,生産・流通状況から,日本産,現地産,第三国産など,差異が生じている。

  • 境田 良人
    2021 年 24 巻 p. 55-62
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    文献サーベイの結果,現実的な視点から日系企業特有の行動様式や経営手法を無理なく説明することができる分析枠組みとしてRugman, Verbeke & Yuan(2011)らの論考に一定のインプリケーションがあることが明らかとなった。そこで,本稿ではASEAN5で活躍する日系自動車メーカーの域内分業についてRugmanらの子会社モデルに対し,既存研究への考察をベースに当て嵌めを行なった。分析によって,ASEAN5における日系自動車メーカーの子会社群が,進出国政府の様々な思惑が錯綜するなか,市場環境の変化に巧みに適合していることが分かった。

  • 石川 和男
    2021 年 24 巻 p. 63-71
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿は,ASEANにおける自動車普及を中心として,多くの国民が金融システムの恩恵に浴することのできない現況を取り上げ,販売金融システムについて環境整備の必要性に言及した。金融サービスにアクセス可能となるためには,まずは銀行口座を持つなど金融包摂が重要になる。そのため自国事業者だけで金融サービスが提供できない国では,外資系企業との連携・提携の可能性を模索する必要がある。またASEANにはイスラム教国が存在する。イスラム金融は特殊ではあるが,一般の金融との共存可能性を模索する必要性を取り上げた。

  • 中井 教雄
    2021 年 24 巻 p. 73-80
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿は,ASEAN域内の通貨統合に際し,ASEAN加盟各国の為替変動にどのような共通要因が存在するのかについて,因子分析による検証を試みた。本稿の主な結論は以下の通りである。まず,ASEAN加盟国全通貨の時系列データを用いて因子分析を行った結果,ASEAN域内における為替変動の共通要因として2つの因子が抽出された。また,ASEAN全通貨は,これら2因子の影響度により,3グループに分類されることが示唆された。こうした分析結果により,ASEAN域内における通貨統合の方法としては,全体で一括した通貨統合よりもむしろ,これら2因子の自国通貨への影響が類似するグループを中心とした段階的な通貨統合の方が好ましい点が示された。

  • 星田 剛
    2021 年 24 巻 p. 81-90
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    小規模事業であったイオンが日本を代表する小売業となり,かつアジア13カ国で売上7600億円まで成長するに至った要因を,マーケティング・ケイパビリティ(MC)という組織能力に着目して検討していく。イオンは,黎明期に財務規律,人事・組織運用則などの内部重視のケイパビリティを開発した後,次の成長期に,欧米小売業から多角化,商業集積,環境社会貢献活動などのケイパビリティを外部から学び(アウトサイドイン・プロセス),両プロセスを結合する架橋プロセスに関わるケイパビリティを開発してアジア事業を成長させている。本稿は,小売業の国際化の成功要因を能力開発の視点から分析する際に,MCのフレームワークが有効であることを示す。

  • 張 善会
    2021 年 24 巻 p. 91-99
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は日本には駒川商店街のように中国人にとって魅力的な観光資源がたくさんあるのになぜ活用することができないのかについて価値共創マーケティングのアプローチで検討する。中国人観光客の立場で考察すると十分な成果は出ていないように見える。商店街が自分たちの価値観やこれまでの日本的なマーケティング戦略で実施していることに原因があるのではないかと考えている。本研究が採用した価値共創マーケティングは,顧客が生活時空間で決める文脈価値を起点に編成される。調査方法は,商店街でのフィールドワーク,中国人観光客への調査,商店街振興組合でのインタビューなどである。そして,中国人観光客をターゲットにして観光資源を商品化するためにはどんな打ち出し方をする必要があるかについて提示する。

  • 王 慧娟
    2021 年 24 巻 p. 101-105
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,店舗イメージが買物価値を媒介し,顧客満足とストア・ロイヤルティにどのように影響するのかを明らかにするために,仮説モデルを構築し,共分散構造分析で検証した。分析の結果,店舗イメージの構成要素は品揃え,サービス,価格,雰囲気,販促であることが分かった。そして,中国において買物価値は功利的・快楽的・社会的という3次元から構成されることが経験的に確認された。また,品揃え,サービス,価格,雰囲気,販促という店舗イメージ要素が功利的・快楽的・社会的買物価値にそれぞれ影響を及ぼすことが明らかになった。さらに,買物価値が顧客満足,ストア・ロイヤルティに及ぼす影響を解明した。

  • 梁 庭昌
    2021 年 24 巻 p. 109-117
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は動画「弾幕」機能の利用者を対象に,共有相手集団に対する認知が共有者自身のクチコミ内容および態度形成に及ぼす影響について検討するものである。本研究は“Saying-Is-Believing”効果と呼ばれる,共有相手の態度に合わせた情報を共有する行為が共有者自身の態度にバイアスをもたらす可能性に着目して検証を行った。中国北京市の大学生を対象に,共有相手集団の態度および実体性を操作した実験を行い,実体性が情報作成および共有者自身の態度に与える影響を検証した。その結果,共有相手集団の実体性が高く認知された場合に,共有者は共有相手集団の態度に合わせた「弾幕」情報を作成し,それと一貫した態度が形成されやすいことが示され,実体性による調整効果が確認された。

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