Journal of Applied Glycoscience
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第14回糖質関連酵素化学シンポジウム
抗う蝕性環状オリゴ糖・サイクロデキストランの発見から実用化技術開発へ
舟根 和美渡嘉敷 唯章儀部 茂八川端 康之小熊 哲哉伊藤 汎中地 昌顧宮城 貞夫小林 幹彦
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2007 年 54 巻 2 号 p. 103-107

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抄録
サイクロデキストラン(CI)はグルコース分子がα-1,6結合で連結した環状イソマルトオリゴ糖である.CIは環状イソマルトオリゴ糖グルカノトランスフェラーゼ(サイクロデキストラングルカノトランスフェラーゼ,CITase)によってデキストランより合成され,基質のデキストランはデキストランスクラーゼによりスクロースから合成される.CIはBacillus circulans T-3040菌株を,デキストランを含む培地で液体培養した培養上清に発見され,13C NMR分析および質量分析により構造決定された.CIはCDよりもきわめて水溶性が高く,抗う蝕性能を有する.この機能を利用して,虫歯を予防するオリゴ糖としてCIを実用化する目的で,製糖工場内よりα-1,6結合の割合の高いCI生産に適したデキストランを多量に短時間で生産する菌株取得に成功し,薬剤耐性菌の選抜によるCITase高生産変異株の取得を試み,約110倍にCITase活性が上昇した変異株の取得に成功し,CI生産レベルを著しく高めた.さらに,黒糖中のオリゴ糖成分を抽出,HPLC分析した結果,CIと全く同じリテンションタイムに溶出するピークが観察され,質量分析によりCI-7,CI-8,およびCI-9と同じ分子量を示すシグナルが確認でき,CIは黒糖中に含まれる天然オリゴ糖であることが示唆された.
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© 2007 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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