Journal of Applied Glycoscience
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落花生豆腐の性状に及ぼす各種澱粉の影響
菊田 千景岩城 啓子太田 夏未脇田 あゆみ上田 茂登子杉本 温美
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2010 年 57 巻 2 号 p. 87-93

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抄録

落花生豆腐は,磨り潰した落花生より搾りとった落花生乳と澱粉ならびに水から調製される加工食品である.沖縄では主にサツマイモ澱粉で作られている.そこで本研究では,クズ,サツマイモ,サツマイモの低温糊化澱粉「みなづき」,トウモロコシ,タピオカ,タピオカ加工澱粉「PB108」,「PB2000」の7種類の澱粉を用いて,澱粉の物理化学的特性(粒度分布,溶解度,膨潤度,X線回折,示差走査熱分析計(DSC)とラピッドビスコアナライザー(RVA)による糊化特性)の測定,落花生豆腐の調製,官能評価,クリープメーターを用いた物性測定(硬さ,凝集性,付着性),BAP法ならびにX線回折による老化度の検討を行った.各種澱粉の性質より,みなづきと同様にPB108,PB2000も低温で糊化する性質をもつことが確認された.また,クズ,サツマイモで調製された落花生豆腐は保存日数が長くなると凝集性の低下に伴う豆腐の脆弱化や糊化度の低下がみられたが,みなづき,PB2000で調製された落花生豆腐はほとんど変化しなかった.以上のことから,低温糊化澱粉で調製した落花生豆腐は,老化しにくく保存に適すると考えられる.

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© 2010 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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