澱粉工業学会誌
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澱粉の分離精製に関する研究(第2報)甘藷澱粉製造に対する次亜塩素酸ソーダの効果とその使用限界について(その1)
次亜塩素酸ソーダ処理澱粉の品質について
鈴木 繁男荒井 克祐渡辺 忠弘
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1958 年 6 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

 1)甘藷澱粉製造の際に,次亜塩素酸ソーダを使用する効果及び使用限界を明らかにする目的で,摺込み寄込みの際に,次亜塩素酸ソーダを有効塩素10~500p.p.m.の幅で使用して,得られた澱粉の品質精製程度を検討して,摺込み時に使用した方がpHコントロニルの意義が大きく合理的であることを認めた。  2)その際の使用濃度は次亜塩素酸ソーダ液として稀釈率1/5000,即ち有効塩素としてで10p.p.m.で充分な効果が得られる。 3)水洗によつて精製した生澱粉に,次亜塩素酸ソーダを有効塩素50~1000p.p.m .の幅で使用し,得られた澱粉の品質及び澱粉分子の崩壊程度(アルカリ数による)を検討して,蛋白質の減少程度に三段階あることを認めた。 4)アルカリ数は摺込み及び寄込みの際は,必ずしも次亜塩素酸ソーダ濃度に比例せず,次亜塩素酸ソーダ処理の際に,他の還元性物質と反応する現象と関連して考慮する必要がある。ただ精製生澱粉については,、次亜塩素酸ソーダ処理濃度が増すにつれて,アルカリ数が増加する傾向が認められた。 5)灰分は次亜塩素酸ソーダ濃度を増しても,特に減少する傾向は認められない。

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