1958 年 6 巻 2 号 p. 64-69
甘藷の各部位のポリフェノールおよびアスコルビン酸の含有量をしらべた。この中ポリフェノールが皮部に著しく多量に存在することを知つた。そこで皮部よりつくつた澱粉の白度が著しく悪いことは,この多量のポリフェノールの存在のためであろうと推定した。すなわち甘藷澱粉の汚染は,ポリフェノールの酸化・重合着色成分の生成のために,澱粉がその色素に汚染染色されるとの考えを持つに至つた。 しかしながら以上の結果をもつて,ただちに澱粉の白度を支配するものがポリフェノールであるとすることは早計であるので,今後さらに本研究を展開して澱粉汚染機構を明らかにするつもりである。 本研究にあたり,貴重なる文献の譲渡をいただいた名古屋大学・爪谷教授に対し厚くお礼を申し上げます。なお本報告は昭和33年度澱粉工業学会総会で口演したものである。