抄録
澱粉を乾熱した際の各種性質の変化を明らかにする目的で,コーンスターチを150℃ および180℃ で焙焼して,各時間ごとに試料を採取した。これらの試料について,アミログラフィー,フォトペーストグラフィー,冷水可溶性分,ヨード反応,β 一アミラーゼ分解度・還元力の出現などを測定した。 この結果,150℃ および180℃ の処理の場合とも,これらの測定項目のうちマクロの変化を反映するアミログラフィーでは,反応初期から粘度特性が変わっていることが観察された。 一方,熱による再分岐構造の生成等の分子の形態の変化は,β-アミラーゼ分解限度,冷水可溶性分,ヨード吸収曲線の測定から推定された。 この結果,150℃ の反応では,解,重合反応は,進行しているが再分岐(rebranching)等の構造の変化はほとんど認められなかった。この現象は,180℃ の反応の試料には明らかに認められた。150℃ と180℃ の間に,この臨界温度が存在することが判明した。