澱粉科学
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カチオン置換分級馬鈴薯澱粉の糊化特性
山本 和夫沢田 澄恵小野垣 俊雄
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1981 年 28 巻 4 号 p. 227-234

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抄録

 風力分級法によって工業的に得られた分級馬鈴薯澱粉製品(平均粒径10,18,38μ)のカチオン置換試料を用いて糊化特性を調べた. 1)フォトペーストグラフィーの結果,大粒子澱粉の糊化開始温度は小粒子のものに比べ1~2℃ 低く,両者の透光度変化のパターンが異なることが認められた. 2)カチオンのタイプが同じ試料では,アミログラム最高粘度は澱粉粒径と高い相関を示し,粒径の増加とともに最高粘度が増大することが明らかとなった. 3)粒径が大きくなるほど溶解度は大きくなる傾向を示すが,膨潤度には著しい差異が生じなかった. 4)どの分級澱粉も原料澱粉と同様にK型澱粉はCa型のものに比べ糊化温度が低く,高い最高粘度と大きいプレークダウンを示した.Ca型小粒子澱粉は典型的2段膨潤を表わした. 5)K含量はCa含量よりもアミログラム最高粘度との間により高い関連性を示した. 6)分級澱粉では澱粉粒径が小さくなるに従って,リン含量が高くなることを確認した. 7)リン含量が高いにもかかわらず,フォトペーストグラムとアミログラム特性値から小粒子澱粉は大粒子澱粉よりも強固な澱粉粒の構造をもつことが示唆された.

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