抄録
澱粉の老化は,食品の品質劣化等に非常に強い影響を与える.本報告では,澱粉の老化の機構および老化澱粉の構造を調べることを目的として行った実験の結果を述べた. トウモロコシ澱粉,モチトウモロコシ澱粉の糊液を凍結解凍30サイクルまで行い,強制的に老化させた試料を用い,GA法およびBAP法による糊化度,ヨウ素結合量,16%硫酸およびグルコアミラーゼ,β-アミラーゼ:プルラナーゼによる分解残渣の構造を調べた. 酸,酵素による分解反応の残渣は,全く構造が異なり,前者では,アミロペクチンに由来すると考えられるアミロデキストリン区分が主な構造となり,後者では,アミロースに由来する長鎖長の区分が主体であった.このような実験結果をもとに,本文中に模式的に老化澱粉の構造を示し,A,B,Cの3つの異なる領域が存在することを示唆した.