1. 温水処理をすることにより3種の分級馬鈴薯澱粉とも次の変化が認められた. (1) 糊化開始温度の上昇 (2) アミログラムにおける粘度発現温度と最高粘度を示す温度の上昇およびブレークダウンの減少 (3) 澱粉糊液のT30/T0値の減少と動的粘性率・弾性率の増大 (4) 澱粉ゲルのヤング率ならびに破壊強度の増加と破壊時歪の減少 2. 温水処理により大粒子澱粉のアミログラム最高粘度がわずかであるが明らかに低下した. 3. 温水処理によりアミログラムに2段膨潤を示す傾向が生じ,澱粉粒径が小さい澱粉ほど顕著な2段膨潤を示した. 4. 偏光顕微鏡観察とX線回折図形から,温水処理による馬鈴薯澱粉の物性変化は,主として澱粉粒の非晶質部分の構造変化によるものと推定される.