Journal of Applied Glycoscience
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ベッコウタケのエンド型とエキソ型ポリガラクツロナーゼの精製とそれらの性質
宮入 一夫豊田 素行奥野 智旦
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2001 年 48 巻 2 号 p. 105-114

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抄録
 担子菌ベッコウタケ(Fomitopsis cytisina)の培養濾液から3種類のポリガラクツロナーゼをSDS.PAGE的に均一にまで精製した.これらは反応生成物の分析から,2種類がエンド型(EndoPG I,II),1種類がエキソ型(ExoPG)と決定された.EndoPG I,IIの分子量はSDS-PAGEでともに38kDa,ExoPGは50-60kDaと推定された.これらはいずれも酵素的脱糖鎖によりそれぞれの分子量は37kDaと44kDaに減少した.また,EndoPG I,IIおよびExoPGの等電点はそれぞれ4.3,4.2,4.0であった.いずれの酵素もアミノ酸組成はよく似ていた.また,EndoPG I,IIのN末端20アミノ酸配列には相同性がみられた.これらの至適pHはそれぞれ55,5.0,5.2であり,EndoPG I,IIのpH安定性は4.0から6.0,熱安定性は45℃までであり,ExoPGのpH安定性は3.5から65,熱安定性は45℃までであった.EndoPGIはヘプタ以下のオリゴガラクツロン酸には作用しづらくトリガラクツロン酸にはほとんど作用できなかった.一方,EndoPG IIはIよりオリゴガラクツロン酸によく作用した.本菌のEndoPGはこれまで報告されてきた真菌のものと似ていたが,同じAphyllophorales族のStereum purpureum endoPG IとはKm値,Vmax値,熱安定性が,かなり異なっていた.ExoPGは9GalUA付近の基質に対し最大活性を示し,平均重合度14から42までの基質には最大時の88%程度の活性で一定であった.また,ExoPGは植物起源で報告されていたタイプと同様,不飽和オリゴガラクツロン酸にはまったく作用できなかった.
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© 日本応用糖質科学会
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