Journal of Applied Glycoscience
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糸状菌Acremonium cellulolyticus起源の低エンド型セルラーゼの精製と基本性質
仁平 高則キャンサーン スパンニー河野 敏明岡田 嚴太郎
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2003 年 50 巻 1 号 p. 21-25

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抄録
 糸状菌Acremonium cellulolyticus起源の市販酵素製剤から,各種カラムクロマトグラフィーを組み合わせ,電気泳動的.に均一かつβ-グルコシダーゼ活性を全く有しない1種のエンドセルラーゼ成分を高純度に精製し,セルラーゼI と呼称した.精製酵素は,Avicelに対し高い比活性値(0.69U/mg)を,またCMCに対し極めて低い比活性値(0.40U/mg)を示した.当該酵素の分子質量(SDS-PAGE法)および等電点は,それぞれ約61kDaおよび5.0と推定され,糖含量は19.8%(グルコース換算)であった.N末端側第2-第20アミノ酸残基の配列を,エドマン分解法にて決定した.また,当該酵素の酵素学的性質が精査された.セルラーゼIの反応至適pHおよび温度は,それぞれ5.0, 55℃であった.セルラーゼIはpH3.0-6.0(4℃,24時間処理),55℃以下において,それぞれ100%の残存活性を示した.当該酵素は,5mMのMn2+,Fe3+,Hg2+およびKMnO4、の存在により部分活性阻害を受けた.セルラーゼIを各種のセルロース性基質に作用させると,いずれの基質からも最終生成糖として多量のセロビオースおよび少量のグルコースが得られた.CMCおよび各種セロオリゴ糖に対する作用パターンから,当該酵素の作用様式は低エンド型であることが判明した.
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© 日本応用糖質科学会
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