Journal of Applied Glycoscience
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インゲンマメ登熟種子Granule・bound Starch Synthase I cDNAの単離と発現
磯野 直人伊藤 浩之瀬野 浦武志吉川 基世野崎 功一松井 博和
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2003 年 50 巻 3 号 p. 355-360

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抄録

 インゲンマメ登熟種子から単離した澱粉粒には,分子量約60kDaのgranule-bound starch synthase I(PvGBSSI)タンパク質が大量に結合している.PvGBSSIの詳細な酵素化学的性質を調べる目的で,登熟種子より作製したcDNAライブラリーからpvgbsslcDNAを単離した.予想されるアミノ酸配列は,これまでに報告されている植物GBSSIメンバーと高い相同性を示した(Fig.1).ノーザン解析ならびに澱粉粒結合タンパク質の解析から,PvGBSSI転写産物およびタンパク質レベルは,登熟後期から完熟種子に顕著に蓄積することが明らかとなった(Fig.2,3).また,単離した澱粉中のPvGBSSIタンパク質含量は,登熟時期に関わらずほぼ一定であった.大腸菌で発現させた組換えPvGBSSI(rPvGBSSI)を,キレーティングカラムクロマトグラフィーによって電気泳動的に均一な酵素標品として精製した(Fig.4).精製酵素はpH8.0付近に至適pHを有し, pH 6.0-9.0の範囲で安定であった.また,アミロペクチンに対するKm値は,10.6mg/mLであり,ADPglucoseに対するKm値は,0.09mMであった.クエン酸の存在は,本酵素を活性化させ,0.25Mクエン酸存在下での活性は,非存在下の1.7倍であった(Fig.5).クエン酸は, ADPglucoseと酵素の結合には影響しなかったが,アミロペクチンと酵素の結合に大きな影響を与え,0.25Mクエン酸存在下でのKm値は,0.37mg/mLに低下した.

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© 日本応用糖質科学会
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