Journal of Applied Glycoscience
Online ISSN : 1880-7291
Print ISSN : 1344-7882
ISSN-L : 1344-7882
特定な1個のメチオニン残基置換によるBacillus由来α-アミラーゼの酸化安定化
萩原 浩秦田 勇二小澤 忠弘五十嵐 一暁荒木 裕行尾崎 克也小林 徹川合 修次伊藤 進
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 50 巻 3 号 p. 367-372

詳細
抄録

 好アルカリ性Bacillus sp.KSM-1378株由来のα-アミラーゼ(AmyK)は既知のα-アミラーゼと同様に酸化剤によって失活する.AmyKのコンピュータモデルより,分子中の11個のメチオニン残基のうち,Met202が最も触媒残基に近接しているが,10-14Åも離れていることが判明した(Fig.1,2).Met202を他のアミノ酸に置換した変異酵素を構築して酸化剤耐性を調べたところ,非酸化性のThr,Leu,Ile,SerあるいはAla置換によって強力な酸化剤耐性を獲得することが明らかとなった(Fig.3).さらに,これら変異酵素の速度論的解析より,202位アミノ酸残基の側鎖の長さ(あるいは包括体積)が活性に影響を及ぼすことが判明した(Tablel,Fig.4).以上の結果から,AmyKの酸化剤による失活はMet202のスルフォキシド酸化による基質結合阻害が原因であると結論した.本報告は,このメチオニン残基がα-アミラーゼの基質結合に関与することを実験的に初めて証明したものである.

著者関連情報
© 日本応用糖質科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top