2010 年 52 巻 1 号 p. 35-47
東京都では、大正の初め頃から地盤沈下が起きており、戦後の復興とともに地盤沈下が進行した。特に、昭和30年代から40年代にかけて、地盤沈下は激しくなってきた。
このような状況に対し、都は、法律や条例に基づき、地下水揚水規制や地下水位の観測、雨水浸透の推進などの地下水対策に積極的に取り組んできた。
その結果、現在東京都における地盤沈下は沈静化傾向にあるが、完全には終息しておらず、地下水位も微増から横ばいで頭打ちの状況にあり、現行の揚水規制を緩和すれば地盤沈下が再発する可能性がある。そのため、地盤沈下を未然に防止する観点から、揚水規制を引き続き維持するとともに、地下水のかん養量を増加させるための施策の推進を一層図る必要がある。
本稿では、都における地盤沈下の状況やその対策を振り返りつつ、今後の課題等について概説する。