石川県手取川源流部における地すべり性斜面崩壊により2015年5月以降に生じた河川での濁水流下と,これと同時期に生じた扇状地内での地下水位低下を契機とし,河川水―地下水交流の量的変化が周辺地下水に与える影響評価を目的に,水文データの整理,地下水と地表水の酸素・水素安定同位体比の観測を行った。斜面崩壊後,手取川河川水による涵養に減少傾向がみられたが,河川流量減少が生じていたことから,濁水流下のみが要因ではないと判断した。手取川周辺扇央部の左岸域では河川水による涵養の減少に伴って相対的に田面水による涵養の寄与が増加,右岸域では河川水による涵養と田面水による涵養の減少により地下水位低下が生じたことが示された。