2018 年 60 巻 3 号 p. 305-315
不均一浸透場における陽イオン交換反応を伴う2次元断面の反応輸送実験で得られた破過曲線に対して,連続時間ランダムウォーク(CTRW)による再現を試みた。単一ピークであれば,特殊な形状でも通常のCTRWによって曲線の概形とテーリングなどを概ね再現可能であった。異常拡散の度合いを表すパラメータβは,ほとんど0.8<β<2.0となり,実際の多孔媒体において異常拡散に近い挙動を示していると考えられると判断された。多峰性の破過曲線は,代表的な流路が複数出現したことに対応しており,そのような場合は,流路ごとに分割してフィッティングする必要がある。