本稿は2017年10月12日に弘前大学で行われた日本地下水学会主催のシンポジウム「地下水と地熱・地中熱エネルギーの利用」の講演内容を手直ししたものである。本稿では地熱系の3要素である熱源,貯留構造および地熱流体についてレヴューした。わが国は世界有数の地熱資源大国であるにもかかわらず,異例なほどに地熱開発が低迷し,東日本大震災後,漸く地熱支援政策が復活したばかりに過ぎない。この復活においては,費用対効果の高い地熱開発を目指すことが急務であり,全国の地熱地域において,一条の断層の中で,熱水対流のリチャージ域やディスチャージ域を評価するような地下水化学や熱水水理学や熱水水文学の役割がますます重要になるだろう。