地下水学会誌
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論文
複数の地球化学的指標と地球統計学による京都盆地鴨川―高野川周辺の地下水―表流水交流状態の推定
柏谷 公希文田 了介小池 克明
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2019 年 61 巻 1 号 p. 21-34

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抄録

複数の環境トレーサー分析と地球統計学の活用により,地下水と表流水の交流状態を定量的に把握する手法を構築することを目的に,京都盆地北東部に位置する鴨川および高野川周辺をモデルサイトとした検討を行った。地下水試料,河川水試料の分析結果にordinary krigingを適用したところ,河床周辺の帯水層には周囲の地下水に比べて塩化物イオン濃度が低く,酸素同位体比が軽い地下水が分布することが明らかとなり,河川水の浸透範囲を特定することができた。また,ラドン濃度に基づいて河川への地下水流入速度を算出したところ,鴨川と高野川の合流点付近で流入速度が最大(36.5m3/m/day)となり,河川水における地下水の混合率は鴨川で14%,高野川で35%と推定された。

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© 2019 公益社団法人 日本地下水学会
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